樹木希林という生き様

樹木希林が亡くなったことで、連日報道が続いている。

「あん」を始めとする代表作の味わい、それに何より癌を公表して以降の、

何かを覚悟した人特有の悟りが、彼女の本来性である「凄み」というものに更に何かとてつもないものを付け加えたと思う。

そして生前の彼女の哲学の深遠さによって早くも彼女の神格化がはじまっているが、

 

一体、いまSNSで「感動した」反応している人の何割が

彼女のように生きるんだろうね、、、

というシニカルな視点は、

「金田さん」なら、そう言うだろう、というヨミ。

 

* * *

そう!

わたしにとっての樹木希林は

金田(かねた)さん

である。

 

(これだけでわかってくれる人LOVE)

 

 

そしてわたしの中で金田さんは一生、うさぎやの家政婦として永遠に生き続ける。

あの人はいつも「お化けのロック」を郷ひろみと歌っているのだ!

 

 

そう、忘れもしない。

小学校時代に母親と見ていたTBS木曜劇場「ムー」。

「ムー一族」はその続編。

わたしに「くだらないギャグ」と、横尾忠則の生み出すイメージをインプリントしてくれた、偉大すぎるドラマ。

 

樹木希林は舞台である新富町のうさぎやという足袋屋の通いの家政婦、という役どころ。

ちょっと意地悪でシニカルで、ひがみやで、言葉を慎まない。

思う存分に場の空気をぶち壊しまくる

本当にいたら相当困った人、という役である。

 

YouTubeはありがたいですね。

二度と見られないと思っていたものがある!

懐かしいと思う人、いる???

 

* * *

この一連の「ムー」シリーズに、ガキんちょ時代に夢中になったことは

わたしの人格形成に莫大な影響を与えたと思う。

 

 

キリッと公言しておきたいのだが、

わたしはかなりくっだらない笑いが好きな人間であって、

チーーーーっとも真面目で立派な人じゃない。

(そんなことは知ってるよねw)

くっだらなさ極まる笑いがなければ、生きていけないのだけれど、

同時にものすごく冷静に物事を見ている。

そしてどんな悲惨なものの中にも、

同時に笑いを見出してしまう。

 

 

そして、金田さんの、「斜めから世の中を見る視点」は

子供のわたしに大変な勉強になった
(ということが、あとで振り返った時によくわかった)。

 

* * *

ちなみに金田さんは「かねタ」さんで、

かねださん、と呼ばれるといちいち「「かねタ」です」と返すのが決まりである。

 

わたしも時々、誰かが

「坂ノ上修道院」

と表記したりしているのを見ると、

同じ口調で、坂の「下」です

と心の中でつぶやいている。

 

* * *

だからわたしは樹木希林というより、金田さんが好きだったわけなんだけど、

それでも内田裕也との関係は、

ものすごく心にくるものがある。

 

 

あの「しょうもない男」を、

自分を成長させてくれる鏡であると言ったセリフは、

特にわたしという個人には、かなりの力を持った言葉だった。

ある意味、目から鱗アゲインでもあるし、

ある意味、でもそれはもううんざりだ、という気持ちでもある。

 

 

しかし、彼女が放ったその言葉は、というか、彼女が達したその境地は、

紛れもない真理であることは間違いない。

たとえ、相手が誰にせよ、だ。

 

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20181005-00000008-pseven-ent

そして晩年というか、最後こそ、こんな風に「素敵だな」と思われるような関係性でいられるようになったけれど、

世間はそれを絶対に理解していなかっただろうし、

また彼女も理解されることなどつゆほども望んでいなかっただろうし、

 

ここに至る道のりは、

おそらく修羅の道だったろうと思う。

 

 

また、彼女自身、あの徹底した「貫きぶり」は、

個人的な生活において、決してたやすく付き合えるような、

一般概念での、わかりやすい「優しさ」(幼稚な意味で)とか、そんなものは一切なかっただろうと

わたしは想像する。

 

というのも、何かを極めれば、自ずと孤高になっていくもので、

余分なものを持ちたくないと考えれば、当然「説明しなければ通じない」ような間柄は

彼女にとって意味のないものだろう、と簡単に推測できるからである。

 

* * *

それで、YouTubeで「ムー」を見てたら

関連動画的に、彼女に密着したドキュメンタリが出てきて、何気なく見たのだが、

余分なものを持たない暮らし

は徹底的に吟味された調度品で構成されており、

その趣味の良さといったら半端ないわけだが、

彼女は自分の邸宅に内田裕也の部屋を作っており(まず、そこに驚いた)

そのドアには

なんと

 

マリアさまのステンドグラスがはめられていて

見た限り、他の部屋の調度とは全く異なるスポットと見受けられた。

 

彼女らしく、ガタガタ語らず

「旦那の部屋はこれで浄化してんのよ」

と言うにとどめていたが、

 

 

ああ、この人は、

その、、、

つまり、いつ建てた家かは知らないが、

これをここに持ってこようと決めるに至った過程は、どんなだったのだろうかが

わたしには、見えてしまい

一気に胸が苦しくなった。

 

と、同時に

ああ、、、やはりね、、、、

という気持ちもあり、

 

樹木希林はもはや金田さんではないんだなあ

 

という、当たり前なことではあるが、

ともかくものすごい深度を持った人だなあ、と思った。

 

そしてまた、樹木希林たる人でも、やっぱり、マリアさまなんだなあ

という思いもある。

 

同時に複数の感情を持ってしまうわたしにとって、

この気持ちを説明するのは簡単ではないけれど、

簡単に言えば「深く感じ入った」としか言いようがない。

 

* * *

 

樹木希林さんのご冥福をお祈りします。