象さんはそーゆーわけで鬱になった。
大学を卒業してからというもの、彼女がわたしに連絡してくる時ってのは「SOS」の時だ。
我慢強くてなんでも一人で飲み込んでいるけれど、「もうどうしようもない」ってなった時だけ、わたしに電話してくる。
彼女からの着信 = 今「やばい」んだなってわたしは理解するから、
「元気?」って始まるその声はだいたい、まあ元気じゃないんだろうなっていう仕組み。
鬱になってしばらくは連絡さえ来なかった。
それがどうにか上向いた時に、彼女は母親から離れることをようやく決断する。
そしてそう簡単には母象が追いかけてこれない遠いところへ行った。
しばらくは良かったみたい。
現地で知り合った男と住み始めて、そりゃもう「遅れてきた青春」みたいだったんじゃないかなー。
ようやく「フツーの女」になれた。
「セックスがこんなに楽しいものとは!」というセリフを聞いた時、わたしだって感慨深かった。
おーーーー!良かったね良かったね、あたしも嬉しいよ!
しかし、それもまたポシャった。
金のことでモメた。
それで、また帰ってきちゃうんだよねえ、元の場所に。
「今度は大丈夫だと思う」って言って。
そして結婚したけれど、やっぱり母娘一緒に住むことになるんだよねえ。
はーーーーーーーーーーー、どうしてなの????
と思ったけれども、それが「運命」なのかなんなのか、もうそういう風にできているかのように。
わたしはもう二度と「やめなよ」とは言えなかった。
そして母象は、例の「おじさん」と離婚することになるわけだが、
そこでもまた、金のことでモメた。
金の始末で自分が被害を被ったことで、彼女は「おじさん」を憎んだ。
罵詈雑言を繰り返すから、そんなにデカい額なのかと思ったら、まあ、これは個人の受け止めかただけれども「え、そんなもんで?」とわたしは思った。
その程度の金額なら、金を払って厄介な人間と縁を切ってやったんだ料、とは思えない?と言ってみた。
でも納得がいかない、と言っていつまでもおっさんを責める言葉を並べ続けた。
やばいなーと思ったけれども、どうすることもできない。
それが3年ぐらい前。
そして昨年、また連絡があり、状況は悪化していた。
「母象から一言でも感謝の言葉が出てくるなら、わたしも少しは報われるのに。わたしの人生を返して欲しい」。
あーあーあーあー、と思った。
もはや、見ている世界が違いすぎて、わたしの言葉は一切彼女に届かないようになっていた。
川のこちら側とあちら側だ。
そのうち今度は、夫象が事業に失敗した、と言って、また金の件で怒っている。
母象はいずれ死ぬ。
今思うとさ、ママって思う通りに生きた素晴らしい人生じゃない?なんの後悔もないでしょうし、幸せだったよね。
むしろこれからは、その姿勢を見習ってみるのはどう?あんたも思う通りに生きればいいじゃん。
人のことより、自分の幸せな状態の方に目を向けようよ。。。。
そこで彼女は言った。
「あの占い師に言われた通りだよ。わたしさー、そういう星の下に生まれてるの。幸せになれないんだよ」。
なことないよ!!
全力で否定したけれども、わたしの声は届かない。
会ったこともない占い師だけど、余計なことを言ってくれたもんだよな~って、わたし思った。
それは「同情」とか「共感」だったのかもしれないが、決定的な呪詛になった。
占い師のスキルって、そういうことかもしれない。
だからやっぱり「信頼できる易者にみてもらう」は鉄則で、それが誰だかわからないのなら、「二択でなければみてもらわない」、も鉄則なんじゃないかと思う。
安易に未来を知りたがり、まんまと呪いを受け入れた。
ちなみにわたしは、オラクルカードとかも一切やんない。自分の松果体がすべてだ。
母象が死んだら、彼女の人生はやっとそこから始まるんだろう。
でもね、やっぱり思うよ。
人の人生を生きてはいけません。
ついでに言うけど、
幸せに「なる」なんて、ないよ。
そんなもん「気づく」だけだよ。
誰かを責めて生きる人生はつらい。
明るくない話だけど読んでくれてありがとう!
またね〜!